2008年08月23日

「阿部一族・舞姫」森鴎外






「阿部一族・舞姫」

森鴎外(新潮文庫)

許されない殉死から始まった悲劇「阿部一族」、ドイツ留学中に知り合った女性との恋を捨てた主人公を描く「舞姫」。他に「うたかたの記」「鶏」「かのように」「堺事件」「余興」「じいさんばあさん」「寒山拾得」を収録。

森鴎外を読むのは高校生の時以来か。「舞姫」を読んで主人公の男の身勝手さに憤った覚えがあります。

今読んでも確かに身勝手だなぁとは思うんだけど、それも仕方ないと思えてしまうところが私も年をとったのかな。
恋のために誤解を受けて遠い異国の地で職を失ってしまって、一時はその恋を全うする道を選ぶけど、実際にそうしてみれば日々の生活の苦しさ、それまでのエリート生活との違いにだんだん疲れていく。そしてついには恋を捨てて国へ帰って出世する方を選んでしまう。
どんなに盛り上がった恋でも生活という卑近な事には勝てないし、そんな人間の弱さも仕方ないしそこがまた人間のかわいいところだと今は思うんです。

最初の2編「舞姫」「うたかたの記」までは古文調ですが、そのあとの作品はがらって文章が変わって読みやすくなります。ところが、内容はというと私としては読みにくい「舞姫」「うたかたの記」の方が良かったんです。
「かのように」なんて特にそうだと思うんですが、エリートの人たちが生活の苦労とは無縁のところでただ理屈を述べあうという・・・。森鴎外ももちろん当時の超エリートで、庶民感覚とは隔たったところにいたわけで、そういうところが全体に漂っている気がします。
そんなところに読書もどうも乗り切れず、そうなるととたんに読みとおすのに時間がかかって。私も分かりやすいなぁ。

その中ではちょっと滑稽味のある「鶏」がわりと好きです。初期の漱石っぽいかな。
夏目漱石だってもちろんエリートで当時の一般人とは違うけど、それでも市井で暮らした感覚があるところが私に馴染むのかも。
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hiro25neko at 06:52│Comments(0)TrackBack(0)★作家別・ま行 

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