2008年11月01日
「天人五衰 豊穣の海(四)」三島由紀夫

「天人五衰 ―豊饒の海(四)」
三島由紀夫(新潮文庫)
年老いた本多は、清水港で16歳の少年・安永透に出会う。彼を月光姫の転生と思った本多は、透を養子に迎え教育を始めるが。
人の老いとはかくも残酷なのかと思う四部作最終巻でした。
若い頃、お年寄りと言えばもう何もかも悟っていて迷いなんてないように思ったけど、実際人間なんて何歳になっても悟ることなんて難しいのですね。
冷静で客観的な本多でさえも、輪廻転生についての思いにとらわれ続けるのがまた一つの地獄なのか・・・。
最後に再会した月修寺門跡となった聡子の姿がまるで女神のようでした。その最後の言葉の意味は、やはり何度も読み込まなくては理解しきれない気がするのですが・・・。
それでもその悟りの明るさが、まるで暗い寺の中から明るい夏の日ざかりの庭を眺めるように眩しくて、心洗われるように感じます。
それまでのずっと陰鬱だった話が、最後に急に明るく視界が開けたようでした。
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