2008年11月27日
「シルエット」島本理生

「シルエット」
島本理生(講談社文庫)
大学生の恋人せっちゃんがいて幸せなはずなのに、元恋人の冠くんが忘れられないわたし。誰かを求めるせつない心を描いた群像新人賞優秀作。
併せて15歳のデビュー作「ヨル」、他1編も収録。
島本さんを読むのは2作目。最初に読んだ「ナラタージュ」の時も思いましたが、島本理生は「雨」の作家という印象です。それも煙るような静かな霧雨。
真夏の風景や雪の季節も描いているのに、何故かそんな印象です。静かな文章のせいもあるのでしょうか。
複雑な家庭の事情のせいで、女性の体に嫌悪感を抱く元恋人の冠くん。お互い好きなのにそんなところからいつか気持ちがすれ違って別れてしまった。高校生で付き合うのには、かなり難易度の高い相手です。でもそんな人に限って好きになってしまうのですね。絶対その友達のはじめの方が、付き合いやすいし楽しいのに。そこが計算のない、魂が求める若い恋なのかな。
今恋人のせっちゃんと共にいることで、少しだけ前に進んだようなのが良かったです。
そしてせつないラストも。哀しいけれど、ここから彼女は強く歩んでいくのでしょう。
デビュー作ともう1編は短編。若い日のある一場面を切り取ったような作品。収録されている全3編を通して同じような空気感。少し暗く静かに柔らかい、そして心地よい。
それにしても、全部作者が10代で書いた作品というのが驚きです。
⇒人気blogランキング






